逆転結露を防ぐ透湿防水シート
昨日の続きです。
本日は、この透湿防水シートの、ある機能をご紹介します。
発泡系の断熱材で知られるスタイロフォームブランドの、「ウェザーメイトプラス」という透湿防水シートです。
透湿防水シートというのは、読んで字の通り、建物内に雨水が侵入することを防ぐ防水シートであると同時に、建物内の湿気を逃がす、つまり、透湿するシート、です。
一般によく使われている断熱材のグラスウールは、吸放湿性能に乏しく、冬場、室内の湿った暖かい空気が壁内に入ってしまうと、外壁側で冷やされて露点を下回り、結露します。
この結露は、カビや木材を腐らせる腐朽菌の元となります。
つまり、建物の耐久性を大きく左右します。
そこで、一般にグラスウールを用いるときには、室内側に気密フィルム、と言うものを施工します。
社員大工の丸山が貼っている緑色のシートがそれ。
なるべく壁内に湿気を入れない。
そして、入っちゃったものは、できるだけ外部の通気層に排出する。
これが、今主流の外壁通気工法です。
ただ、この工法に対し、「夏場の逆転結露の危険性」というのが言われています。
どういうことかというと、夏場に、
「外が暑くて湿度が高く、室内がエアコンで涼しくて湿度が低い」
という条件は、冬の室内と室外が入れ替わっただけ、となり、外から湿気が壁内に侵入すると、室内側の気密フィルムで湿気が止められて、そのまま冷やされて結露する可能性がある、
ということです。
じゃぁ、外部の透湿防水シートに、内部の湿気は外に逃がすけど、外部の湿気は中に入ってきにくい、そんな機能があったら素晴らしいじゃないか!
というのが、本日ご紹介する透湿防水シートなのです。
あらためて昨日最後の写真。
左から、国産のS社のRという商品、米国Dュポン社のHウスラップという商品(今までこれを使っていました)、そして、今回ご紹介するDOW社のウェザーメイトプラス。
こんな感じで実験しました。
ガラスのコップにお湯を入れ、それぞれの透湿防水シートを挟んで、紙コップを上からギュッと押さえてはめ込みます。
紙コップの上部には、湿度計を刺す穴を開けておき、湿度を測るまではテープで固定。
お湯を入れて紙コップを密着させ、6分後に紙コップ内の湿度を測りました。
ちなみにお湯は、61.5℃。
対象区として、サランラップでも測定。
お湯を入れて…(量はみんな同じ、コップ2分目ほど)
部屋の湿度は40%ほど。
6分後、紙コップ内の湿度を測ると、50.8%。
サランラップもある程度湿気通すんですね。
旭化成のHPで見ると、透湿度12g/m?・dayとありました。
(これがどの程度かはよく分かりません…笑)
はぃ、では、助手の実験ちゃんも見守る中、問題の透湿防水シートの結果です。
機械が逆さまで見にくいですけど、国産のS社のRも、米国D社のHも、シートのどちら側からも湿気を通し、紙コップ内の湿度、測定限界の99.9%でした。
で、今回現場で初めて使ってみた、DOW社のウェザーメイトプラスの紙コップ内の湿度は、
お湯→シート裏面→表面が紙コップ(つまり、室内側から水蒸気):87.0%
お湯→シート表面→裏面が紙コップ(つまり、外壁側から水蒸気):78.7%
という結果でした。
たしかに、メーカーの言うとおり、方向優位性があります。
ただし、この簡易的な実験条件は、建物の壁内の雰囲気と同じとは到底言えませんので、これをもって逆転結露を完璧に防げるとか云々は言えません。
また、そもそも、他のシートに比べて室内側からも湿気が逃げにくい?と言うようにも読めますので、現時点で他の商品よりも明らかに優れている、とも言えませんね。
ま、実験の意味は、「メーカーの言うことが本当に正しいか自分で納得してお客様に伝えたい」というものですから、今回の結果を踏まえ、トランプ大統領に聞いてみようと思います。
こんな具合に、実験するといろんなことが見えてきます。
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2017年03月15日
Post by 株式会社 macs
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生存確率50%の超未熟児だった娘が退院して家族がそろった夜に涙してから 家は家族の絆を育む場所だと気付く。地元で百年。これからも社員大工たちと共に創りあげ 家族の笑顔と絆を一生涯守ってゆくのが私の使命。