パッシブソーラーの考察1
一昨日のエントリーでの予告通り、「びおソーラー実践塾」で発表した資料をもとに、面白そうなところをピックアップして、わかりやすくご紹介させていただきます。
【パッシブソーラーの電気代】
と、
【そのお宅の暖房費】
について、2回に分けてのエントリーです。
一回目の本日は、
「パッシブソーラーって、太陽の熱を床下に運ぶって、エコみたいだけどさぁー、そもそも、電気で床下まで運ぶんでしょ?じゃぁ、エコじゃないじゃん!」
という質問についての考察です。
実にナイスな、そもそも論です。
その前に、もっと「そもそも」って問題。
「パッシブソーラーって、そもそも、ホントにあったかいの?」
ですよねー。
はぃ、調べてみましょうね。
というわけで、パッシブソーラーシステム(こちらのお宅では【びおソーラー】)搭載のオーナーさんのお宅にお邪魔して、色々測定させていただきました。
協力者は長男くん。床下に潜ってゆきます…(笑)。
おっと、さらにそもそも論がございましたね。
「そもそも、パッシブソーラーってなんやねん!」
失礼いたしました。
パッシブは「受け身」。反対はアクティブ。
太陽光発電の様に、機械制御で「積極的に」電気を作る、
のではなく、
お日様の熱そのものを、室内に採り入れてみましょ、晴れたときだけ。
これがパッシブソーラー。
OMソーラー、そよ風、びおソーラーなど、オプションや機能の違いこそ有れ、基本は皆同じです。
熱はガルバリウムの金属屋根が、晴れれば勝手に熱くなります。
その下の空気は当然暖かくなるので、その空気を換気扇とダクトで床下まで送ってあげましょ、ということです。
建物の断熱性が高ければ、そんな僅かな熱量でも、けっこう暖かくなる、
それがパッシブソーラーです。
「床暖房みたい!」と言うのは完全に大袈裟です。そんなに暖かくなりません。
で、どれくらい暖かいんだろう…?
ではスライドです。
上の写真は2月4日に、こちらのオーナー様宅にお邪魔した際の、室内の熱画像。
壁の両サイドが窓。
窓にロールスクリーンがかかっているのがお分かりかと。
中央の四角いのは、吸気口。
現在の法律では、24時間換気というのが義務付けられており、この四角い部分から空気が入り、トイレなどの換気扇から排気がされます。
右の熱カメラで見ると、吸気口から外気が入ってきているので、その周辺は15~16度になっていますが、その他の部分の表面温度は、20~22度で安定しているのがわかります。
本来、窓が寒く(青く)写りますが、そこは高断熱のマクスのおうち。
全室トリプルガラスの樹脂サッシですから、熱の逃げが最小限で、窓周辺も寒くないんですね!
スライドにも書いてありますが、この時の時刻、夜の7時。
「まだ、朝からエアコンつけていません」
ここ大事です。
はぃ、ではこの時、問題の床下はどうなっているのでしょうか?
おお!室内より暖かい。
左の写真の銀色のダクトが、びおソーラーが取り入れた空気が吐き出されるところです。
人間の体感温度、というのは、その人の周辺の空気、だけでなく、その人の周りの壁や床・天井の表面温度からの輻射熱を敏感に感じ取っているのが知られています。
体感温度は、
【周辺の空気の温度】と【周囲の壁床天井の表面温度」の平均
と言います。
壁も床も天井も「寒くない」ので、こちらのお宅は、この日のこの時間、エアコンが付いていなくても、まだ寒くないのです。
例えば、こちらのお宅の室温が24度だったとします。
壁床天井の表面温度の平均が22度だと、
体感温度は(24+22)÷2=23度。
薪ストーブのような暖かさではありませんが、寒くはありません。
でも、同じ室温だけれど、壁床天井の表面温度の平均が14度だと、
体感温度は(24+14)÷2=19度。
同じ室温のはずなのに、ちょっとこれだと寒い。
こういうことですね。
特に、床が冷たいと、足の裏やくるぶし周辺には、温度を感じるセンサーのような部分が集中しているので、冷え性じゃなくても寒いわけです。
その点、床が温かいというのはありがたいですね。
さて、長かったですが、本日のメインテーマ。
じゃぁ、その快適さを、どれくらいの電気代で実現してるのか?
HEMSという機械があります。
Home Energy Management System。
家庭で使うエネルギーを節約するための管理システム、とされてまして、 家電や電気設備とつないで、使用量をモニター画面などで「見える化」したり、スマホで家電機器を「自動制御」したりできます。
別にスマホで自動制御する必要ある…?高いお金払って複雑なシステムの故障リスクも負って?
と私は非常にこのシステムに懐疑的なので取り付けてはいませんが、持ってはいるんです。
で、こちらのお宅で、あくまで実験用に、お施主様にご協力いただき設置。
・一階のエアコン
・二階のエアコン
・コンベックレンジ(ガスと電気のオーブン)
・びおソーラーと二階のコンセント
この4つの回路の電気使用量をモニターしました。
びおソーラーは、大した電気量じゃないので、二階のコンセントの経路と同じにしてある、つまり独立した系統ではない、という意味です。
結果、この【びおソーラーと二階のコンセント】の経路の電気使用量は、12月が5.4kw、1月が5.6kwでした。
電気の単価から見ると、月に百数十円ですね。
こちらのお宅のびおソーラーには、オプションで、「室内循環」というのを採用しており、屋根から集熱していない時間は、ロフトの空気を床下に送る、という「循環運転」を常時しています。
つまり、24時間、ファンは動きっぱなし、ということです。
二階のコンセント(多分掃除機とかスタンドとかに使ってますよね?)と合わせ、24時間動きっぱなしでも月に百数十円。
通常のびおソーラーは、シンプルに「冬の日中の晴れた時に暖気採り入れ」、「夏の夜に冷気採り入れ」しかしませんので、それだと、月に数十円の電気代だと思います。
うん、これなら「エコ」って胸を張って言えますよね。
「ほんのちょっとの電気で、冬はほのかに暖かく、夏はなんか涼しい」
これが、パッシブソーラーの魅力です。
では、このパッシブソーラーシステム。
このシステムを採用したお宅の暖房費、どれくらいなんでしょうか?
次回考察してみます。
来週の何処かで…。
お楽しみに。
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25(土)は夜の部もありますよ?
2017年03月03日
Post by 株式会社 macs
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生存確率50%の超未熟児だった娘が退院して家族がそろった夜に涙してから 家は家族の絆を育む場所だと気付く。地元で百年。これからも社員大工たちと共に創りあげ 家族の笑顔と絆を一生涯守ってゆくのが私の使命。