七島藺
今週で年内のお仕事はお終い。
そんな一週間の始まりは、畳のお話しです。
畳と言えば、藺草を思い浮かべると思います。
藺草は、イグサ科の植物で、和名は「イ」、←最も短い和名だそうです。
本日は、この「イ」(右)ではなく、「シチトウ」(左)の畳のお話し。
シチトウは、七島と書き、七島藺(シットウイ)と呼ばれます。
七島とは、鹿児島県のトカラ列島を指します。
かつて、トカラ?琉球で栽培されていたので七島藺と呼ばれたシチトウですが、鹿児島・大分に渡ったのち、減少の 一途をたどり、現在では、大分の国東(くにさき)地方の10件程度の農家で細々と生産されているのみで、トカラ列島でも沖縄でも生産はされていません。
近年、「琉球畳」が、モダンな和室とともに流行っていますね。
一般に琉球畳は、縁の無い、半畳の真四角の畳をさしますが、本来の琉球畳は、縁の有無、半畳か一畳かではなく、 シチトウで出来ている物のことを言います。
「別に藺草があるから良いじゃない」
と言われると寂しいのですが、冒頭で書いた通り、藺草と七島藺は全然別物。
特質すべきはその高い強度と、(断面が丸ではなく三角形から来る)独特の風合いです。
写真だと良く分かりませんね…。
下がシチトウです。
東京オリンピックには柔道会場となる日本武道館にシチトウを使った柔道畳が敷かれていたそうです。
(その後のオリンピックの柔道会場ではビニール製の柔道畳に変更)
シチトウは、刈取り時には、170?180センチぐらいまで伸びていきます。
苗が不規則なため機械での植え付けは難しく、現在でも手作業で植えられているそうです。
そうした背景から生産量が激減しているシチトウですが、流通の過程で問屋が沢山介在すると、目玉が飛び出る位の価格になります。(試しに検索してみて下さい)
今回、縁あって大分から特別に譲っていただいた七島藺の畳表を、協力業者の畳屋さんに持っていって、畳にしてもらいました。
その畳は、大分にも一緒に行ったお施主様のお宅での畳コーナーに納めさせていただきました。
今回は、細縁で仕上げました。
現在使用されている藺草は、価格面からほとんど全て中国で生産されている画一的な畳表。
残留農薬とかも気になりますし…。
この何とも言えない風合いの畳も、是非使っていきたいと思う一品です。
2013年12月24日
Post by 株式会社 macs
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生存確率50%の超未熟児だった娘が退院して家族がそろった夜に涙してから 家は家族の絆を育む場所だと気付く。地元で百年。これからも社員大工たちと共に創りあげ 家族の笑顔と絆を一生涯守ってゆくのが私の使命。