衝撃映像の後日談
もう一年半前くらいになるのですが、とあるお客様宅の「衝撃映像」を、お客様の許可をいただいてアップしました。
その時の動画はこちら→【衝撃的 雨漏り映像】
「何とかお金を掛けずに…」
というお客様のご要望で、シリコンシーリングをベタベタに塗りたくって、だましだまし来たのですが、
強い雨が降ると、
ということで、ついにお客様も決心、以前からお勧めしていた抜本的な補修工事となりました。
問題は、私が指さしているところ。
チョー怪しい…。
付け柱(最初の画像で茶色に塗ってある、意匠的に後から取り付けた柱に見える飾り)を取り、モルタルの外壁を撤去してみると、
あ、こりゃ漏りますよ。
分かりやすく板金をめくっていますが、水を切る板金を、出っ張った柱の部分で納まりが悪いからと、簡単に切って納めちゃってます。
もう一本の付け柱の方も同じ。
柱の付け根の処理が甘すぎ。
そもそも、屋根の防水層であるルーフィング(写真の黒い紙のようなモノ)の立ち上がりが低すぎ。
もっとググッと壁の上まで立ち上げないと。
サッシ廻りの防水紙の納めも甘過ぎ。
部分的に水がまわって合板が腐ってしまっています。
その下の柱も、腐り始めてます。
抜本的な改修が出来て本当に良かった…。
余所の工事の批判はすべきではないのですが、この板金の仕事はあまりにもずさんすぎ。
欠陥工事と言われても仕方がないレベルです。
「批判すべきでない」
と言うのは、その時の背景を知らないのに後から好き勝手に評論するな、という意味。
・もしかしたら、契約時に法外に値切られたかも知れない
・もしかしたら、その部分は施主がDIYでやったかも知れない
・もしかしたら、予算が無いからと監督がそう指示したかも知れない
のに、この仕事は酷い…と軽々しく言ってはいけないわけです。
ただ、お客様に確認したところ、上記のような事はなかったそう。
そして、建物完成直後、施工した会社は倒産してしまったとのこと。
『困るのは、そこに住んでいる人』
この事実だけは変わらないのですが…。
この様な剥がしてみないと分からないところ、というのは建築には沢山あります。
だからこそ、見えなくなってしまうところが大事なんですね。
最近流行のリノベ(リノベーション)。
大規模リフォームをそう言いますが、本当のリノベの意味は、
【建てたときよりも性能を良くする】こと。
設備を最新のモノにして、内装をやりかえ、断熱サッシ工事をして…
とすると、一千万円くらいかかってしまう事もよくあります。
でも、今回のような事が壁の内部で進行していたら…。
リノベーションとは、うわべのお化粧直しではいけない。
一千万掛けた分、長く快適に暮らせればいいけど、結局直ぐに建て替えなんて、それこそもったいない。
耐震工事や断熱工事までやろうとすると、ほとんど骨組みまで解体しなければならない。
そうすると、良い悪いは別にして、ローコスト住宅を建てる方が安い、となるのも事実。
雨漏り補修工事から話がそれましたが、
リノベとは、コストと工事後の耐用年数を鑑み、工事内容を決定しなければならない、とっても難しい工事なのです。
2013年05月09日
Post by 鈴木 克彦
About Me
生存確率50%の超未熟児だった娘が退院して家族がそろった夜に涙してから 家は家族の絆を育む場所だと気付く。地元で百年。これからも社員大工たちと共に創りあげ 家族の笑顔と絆を一生涯守ってゆくのが私の使命。