炭焼き窯跡
本日より季節は、立冬の次候「地始凍-ちはじめてこおる」。
静岡県、特に地元の富士市はとっても温暖なので、まだ地面が凍る、と言われてもピンときませんが、たしかに朝晩は寒い。本格的な冬がやってきますね。
さて、本日のお題は、浜松市の天竜区から。
富士市の人間からすると、北隣は山梨県、なのですが、天竜区は、長野県に隣接していて、天竜川も、諏訪湖を源泉としています。
天竜の山に入り、いざ伐採!
なのですが、伐採については、住宅の構造材のお話なので、明日、社長ブログの方にアップさせていただきます。
で、こちらの「びお静岡県東部版」では、ちょっと違った切り口から情報発信させていただきます。
そもそも、今回の伐採ツアーで入った森、上の写真、何種類かの木が写っているのですが、お分かりでしょうか?
わかりやすく、こちらの画像で。
上の、三種類の木、木の肌だけで、何の木か分かりますか?
答えは、後半で。
本日のメインのお題はこちら。
ドスーンと伐採されたところなのですが、指差すところ、なにか、不思議なものが写っています。
これは何だ…?
アップで見ると、こんな感じです。
馬蹄状に、石が積み上げられています。
実はこれ、昔の炭焼き窯の跡なのです。
上の写真で、背中にリュックを背負ったおじさんの方が、谷側の炭を作る木の入り口で、手前の穴が、山側の空気抜き穴、つまり煙突ですね。
屋根の部分は石ではないので無くなってしまっていますが、おそらく木と土で出来ていたものと思われます。
空気抜きの穴は、今でも石が焦げているのが見て取れます。
では、この炭焼きの窯、どれくらい昔のものなのでしょうか?
伐採した木に、そのヒントが見て取れます。
この桧の切り株を見ると、中心部の目が、非常に密に詰んでいるのが分かります。
これは、実生(みしょう)と言って、この場所で種から目が出て木になった証。
ちなみに植林された木(上の画像は杉ですが)、つまり、苗を植えて木になった人工林から伐採される木は、中心を見ると年輪の幅が広い所が必ずあります。
木の年輪は、毎年外側に新しく出来ますから、年輪の中心部が赤ちゃんだった時のもの。
植林された木は、子供の頃、太陽を燦々と浴びて伸び伸び育ったので、早く大きくなるので、上の写真の様に年輪の幅が広くなります。
反対に、実生で育った木は、鬱蒼とした暗い森で育つので、光が届かず、子供の頃の年輪が非常に詰んでいます。
炭は広葉樹の雑木(ざつぼく)で作りますので、冒頭の炭焼きの窯は、昔、この森がまだ杉や桧の植林された人工林ではなく、その前の雑木林だった頃に使われていた物のはずです。
今回伐採した実生の桧は、年輪から、樹齢ほぼ100年の木でした。
つまり、雑木林から植林されて杉や桧の人工林に変わったのは、少なくとも100年以上前。
雑木林を開拓・植林して、人工林になってゆく過程で、実生で木になった桧を、今回伐採したとすると、この炭焼きの窯は、百数十年前、幕末の頃まで使われていたのかも…?
うーん、ロマンですね。
ここで、先ほどの答え合わせです。
中央が、杉です。
葉っぱは短いトゲトゲ。
右は今回伐採した桧。
葉っぱは柔らかく、平べったい。
木の皮は杉に比べ、大きく剥けやすそうに見えるのが特徴。
そして左のゴツゴツした太いのが松。
今の子って、「松葉相撲」って知らないですかねぇ…。
日本中から松が減ってますしね。
松ぼっくり、を知らない子どもが出てきてほしくないですね…。
この松の木の向こうには、まだ雑木が残っていました。
この山で炭を作りながら暮らしていた名残でしょうね。
最後に、こちらの一枚をご覧ください。
伐採された木が、キレイに横に並んでいるのがお分かりいただけるでしょうか?
よく、台風による河川の氾濫のニュースで、
「なぜ、こんなに木が流れてくるんだろう?」
と思ったことありませんか?
あれは、間伐した木が商品にならずに、そのままそこで腐るまで放置されているものや、皆伐(間伐せずに全て伐採)後に、新たな植林が出来ず、手付かずで山が荒れたまま流されたりといったことで起きる現象が多いのです。
上の写真は、そういった現状を改善しようと、
「森林(もり)づくり県民税」
と言って、平成18年から、私たち静岡県民が、一人年間400円を出し合っている税金によって行われている事業の一つなんだそうです。
このようにキレイに間伐材を並べることで、山の保水力アップを図っています。
もっとも、間伐材の利用が進むのが一番いいのでしょうが、コスト最優先のこの時代、それはとっても難しい問題です。
文:鈴木
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住まいマガジン「びお」の、静岡地方版ざます。
工務店のマクスから、家づくりの情報とは違った切り口で、「住まいと暮らしの視点」からローカルで旬な話題を発信してゆこうと思っておりますワン。
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