なぜか浜松にある伊豆石の倉庫群 その1
七十二候は、雨水の末候【草木萠動:そうもくめばえいずる】。
草木が芽吹くころ、の意味です。
私の世代では「もうすぐ春ーですねぇ!」と歌いたくなります。
インテリアコーディネーターのワカメこと酒井です。
今回も私が個人的に所属しています、富士建築士会、まちづくり委員会で研修旅行に行って、ちょっと興味深い話なので、お話させてください。
毎年、この2月頃にまちづくり研修会を企画していて、わが町富士市のまちづくりに参考になるような、ならないような?楽しく、勉強になる場所はないかと、皆で探しています。
2年前の旅行で伊豆のジオパーク一帯を見学した際、伊豆の特産であった伊豆石の石切場、松崎の室岩堂に行き、ダイナミックな伊豆石のルーツを学んだので、じゃあ今年は伊豆石に関連付けようとなり、色んな人つてから、実は遠く離れた浜松に伊豆石の蔵群があると知り、
「浜松伊豆石の蔵とまちづくり~地域の文化財に親しみ歴史を知る旅」
と名しての旅行です。
講師は常葉大学造形学部、建築士であり教授である土屋和男先生。
浜松の歴史から材木・建築・治水などから、なぜ伊豆の石が、浜松のこの周辺にあるのかを謎といて頂きました。
ちょうど明日から見学会の伊豆の国市のお宅で、土地を購入の際、古家の基礎に伊豆石が使われており、貴重なものなので、新しいお家の外構に使っています。
タイムリーな話題で、私もなお興味津々!
写真はその伊豆の国市のお宅の解体前の伊豆石の写真。
まず、伊豆石の話の前に、浜松の地形と、マクスでも使用している材木のお話。
日本三大人口美林の一つ、マクスでも無くてはならない天竜の材木。
今日の人口美林になるには500年も前の植林が始まりとのこと。
江戸時代中期には、遠く江戸の住宅建材として輸送されていました。
この時、遠州の山の中から江戸に運び出すのに利用したのが、天竜川。
明治中期、鉄道が開通するまで続いていました。
この天竜川がこの旅のキーポイント!
上流はとても急流で「暴れ天竜」と呼ばれていて、明治時代までたびたび洪水をおこしていたそう。
今回伺った浜松市東区中野町は、そんな天竜川と東海道の交差点にあたることから、昔から交通の要として栄えてきました。
写真は東海道の現在の交差点。
江戸と京都のちょうど真ん中にあるから、中野町。
十返舎一九の「東海道中膝栗毛」の一文にそう記されているそうです。
この辺りでは、天竜から切り出された木材の帆掛け船やいかだなどで、賑わっていました。
町中にはテーマの伊豆石の蔵が多く現存しています。
先生の講演は、そんな空き蔵を利用したフリースペース「まっし蔵」の中でお願いしました。
上の写真、まっし蔵は石の柄がとても個性的。町中を歩いて回りましたが、どの蔵も石の柄が違うんです。
これはまた別の蔵。
これもまた別の蔵。色が黄色い。
これもまた柄が違う。
伊豆石は伊豆半島全域で取れますが、まず安山岩系と凝灰岩系に大別され、性質も色柄も全く異なります。
この地にある蔵はほぼ、凝灰岩系のもので主に下田、南伊豆、松崎(室岩堂か⁈)、大仁、長岡、沼津などを産地としていて、また身近に感じました。
凝灰石の特徴は加工しやすく、軽く、風化しやすいですが、それも産地や地層によってさまざまで、安山岩系よりも扱いやすく、石切場から職人が一抱えできる大きさで形が揃っているので、建材として大量に流通したんですね。
確かに、中野町の石の大きさは似たような形でした。
立派な蔵もあるけど、倉庫のような古びたトタン壁の基礎を見ると、伊豆石がさらっと使ってあったりして、この地域に根付いていることを知りました。
あ~、私の悪い癖で話が長くなってしまってすみません。
まだ
「なぜ遠く離れた浜松に伊豆石の蔵群がある?」
という謎解きは終わっていないので、次回に繰り越します。
よかったらお楽しみに。
文:酒井
About Me
住まいマガジン「びお」の、静岡地方版ざます。
工務店のマクスから、家づくりの情報とは違った切り口で、「住まいと暮らしの視点」からローカルで旬な話題を発信してゆこうと思っておりますワン。
ビオブログアーカイブ
- 2023年5月 (1)
- 2023年4月 (2)
- 2023年3月 (2)
- 2023年2月 (2)
- 2023年1月 (3)
- 2022年12月 (2)
- 2022年11月 (5)
- 2022年10月 (6)
- 2022年9月 (6)
- 2022年8月 (6)
- 2022年7月 (6)
- 2022年6月 (5)
- 2022年5月 (6)
- 2022年4月 (7)
- 2022年3月 (6)
- 2022年2月 (5)
- 2022年1月 (6)
- 2021年12月 (7)
- 2021年11月 (6)
- 2021年10月 (6)
- 2021年9月 (6)
- 2021年8月 (6)
- 2021年7月 (6)
- 2021年6月 (5)
- 2021年5月 (6)
- 2021年4月 (6)
- 2021年3月 (6)
- 2021年2月 (6)
- 2021年1月 (6)
- 2020年12月 (7)
- 2020年11月 (6)
- 2020年10月 (6)
- 2020年9月 (6)
- 2020年8月 (6)
- 2020年7月 (6)
- 2020年6月 (5)
- 2020年5月 (6)
- 2020年4月 (6)
- 2020年3月 (6)
- 2020年2月 (6)
- 2020年1月 (7)
- 2019年12月 (6)
- 2019年11月 (6)
- 2019年10月 (6)
- 2019年9月 (6)
- 2019年8月 (6)
- 2019年7月 (6)
- 2019年6月 (6)
- 2019年5月 (6)
- 2019年4月 (5)