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明日館 ミニ建物探訪

3月になっちゃいました。
そう、マクスは2月決算。今日から新しい期。
お陰様で、前期もまずまずの好成績でした。
「今期も頑張るぞ!」
今後ともよろしくお願い申し上げます。

さて、そんな今季初ブログは、ミニ建物探訪でスタートです。

先週はお勉強をしに東京へ行ってきました。
その際に、池袋にある明日館に行って来ました。

明日館は、巨匠フランク・ロイド・ライトの設計です。
ミース・ファン・デル・ローエ、
ル・コルビュジエ
と共に、世界の三大近代建築家と呼ばれますが、
「では誰が一番?」
と聞かれれば、ライトが筆頭に上がるのではと思います(少なくとも私はダントツ)。

プライドの塊のような人なので、本人は否定しているのだそうですが、日本建築や古代マヤ建築から強い影響を受けているのは、巨匠の作品群を見れば誰の目にも明らかです。
それは物まねというレベルを遙かに超えているので、否定する必要はないのに…と思うのは、私が凡人だからでしょう。

そんな凡人とは異なり、建築において天賦の才を与えられたライト巨匠。
天才にありがちなトンデモ逸話も多く、妻子を捨てて施主の奥さんと駆け落ちしたかと思えば、その奥さんと家族を使用人に惨殺されたりと、その生涯は波瀾万丈、批判する人も決して少なくはありません。
が、それらを差し引いても氏の、建築の世界での業績と後々への影響は掛け値無しに素晴らしいのです。

前置きはともかく、早速明日館をご紹介致しましょう。

山手線が人身事故で動かなくなり、雨の中を走ること二駅分、池袋駅のほど近く、自由学園明日館に到着しました。

s-110301 (1).jpg

明日館の詳しい説明は、こちらの公式ページをご覧いただけると良く分かります。
自由学園明日館ホームページ:明日館とは

ライト住宅と言えば「プレーリー住宅」。
プレーリードッグは「草原の犬」の意、そう、プレーリー住宅は、草原に佇むかの様な家の意で、大地に低く広がる様な、水平線を強調したスタイルです。

深い軒は、プレーリーでは建築用語でキャンティレバー(片持ち梁)となっていますが、日本の数寄屋建築と共通する物があると思います。

総二階の数寄屋住宅など存在しない様に、普通の敷地に普通の大きさの家なのに、「プレーリースタイルの家!」という広告を見たりしますが、
白いサッシに、ド派手なオレンジで塗って「はぃ南欧風住宅です」
と同様、
一階にタイル調サイディングを貼って、二階との貼り分けにボーダーの役物を貼って、
「はぃ、プレーリースタイルです」
というのを巨匠が見たら吹き出すでしょうね(笑)。
天才の作品は追随を許さないのでしょう。
パクろうとしても、簡単には出来ないのです。

話が逸れました。

s-110301 (2).jpg

びっくりするほど低い軒先。
広角レンズで撮っているので余計にそう見えますが、本当に低い。
この低さと軒先を活かした空間は、見ようによってはとても日本的に感じます。

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こちらは教室。
ライトは、婦人之友社と自由学園を設立した羽仁夫妻の教育理念に賛同し、同学院の設計をしますが、彼自身「タリアセン」という学校を作り、完成前から生徒を集め、授業料を取りつつ、勉強と称して校舎建設をさせています(笑)ので、教育者としてどうなのかは私には不明ですが、ガラス建具はもちろん、

s-110301 (4).jpg

この様な意匠を凝らした空間で学べるというのは、本当に羨ましいとしか言いようがありません。

ちなみに現在この建物は、国の重要文化財として保存され、文化財として法人化運営されていますが、調査・解体修理が行われているので現在は美しい状態が保たれています。
でもその前は、ライト建築につきものの雨漏りがひどく、雨の日は傘を差して授業をしていたと解説がありました。

バリアフリーを狙ったのでしょうが、床レベルと地面のレベルが同じなので、浸水もひどく、修理時に全館の床を集めても、当時の床はこの教室の半分しか残らなかったそうです。

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奥が当時のオリジナルの床。
手前と変わっているのがお分かりかと思います。

伝説になっている巨匠の雨漏りに関するトンデモ逸話に、日本でも有名なジョンソン・ワックス社の建物の話があります。

要人を招いた大事な会談中、社長の頭に雨漏りが…
社長は激怒してライトに電話。
「何とかせいっ!」と怒鳴る社長に、
巨匠は一言…
「椅子を横にずらしなさいよ」



格好い〜っ。
やっぱり僕は凡人だ(笑)。


またまた脱線。
建物に戻りましょう。

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明日館の顔は、一枚目の写真にある、正面の縦長窓ですが、この食堂もそれに劣らず、いや、それ以上に素晴らしい空間です。

写真中央に矢印を付けましたが、この部屋には、この様な凹んだヶ所が四隅に配置されておりまして、元々その空間が照明用のスペースだったそうなのですが、ライトが「暗いな」と感じ、ペンダントライト(天井から吊す照明器具)に変更。
なんと、一夜にしてこの器具の図面を書いてしまったのだそうです。

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嗚呼、やはりあなたは天才っ。


ちなみに、この部屋の椅子はレプリカですが、オリジナルも展示してありました。

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右がそのオリジナル。
女学生用の小さな物ですが、ライトの弟子の遠藤新が作ったものだそうで、大きい方は、現在結婚式などで使われるので大きく作り直されています。

この椅子に関して遠藤新は、
「製作を頼まれたは良いけど、見積もりしたら予算の倍になっちゃった。
 予算を合わせるためには仕事を簡素化するしかないけど、それには際限がない。
 一にも二にも金。
 金がなければ出来ないけど、『全て金か?』と言われて『そうだ』とは言わない。
 考え方を別にしてそれを解決するのだ!」
というような事を記していました。
安い材料を使って、それをデザインでカバーする…。
深すぎっ…。


もう一つ脱線して、こんな展示物について。

s-110301 (11).jpg

これは、巨匠ライトが冒頭の悲惨な事件で本国での名声が地に落ちていた頃、降って沸いた様な帝国ホテルの設計という日本からのオファーにおいて、
再起をかけて挑んだのはもちろん、
日本文化への憧憬と理解(ライトは浮世絵バイヤーとしても有名)を背景に、
「帝への捧げもの」
と言える様な、重厚かつ荘厳な建築物とするためのキーアイテムとしての、テラコッタ(模様付き陶製タイル:右)と、スダレ煉瓦(縦のストライプ模様が細かく入った煉瓦)の実物(帝国ホテル解体時のもの)です。

この様な非常に手の込んだ仕事をしたのに加え、際限なく意匠や設計を変更(書いたスケッチは2000枚だとか!)、工期は遅れに遅れ、予算も大幅オーバーし、巨匠は完成を待たずして解雇される事となります。

ある意味解雇の遠因の展示とも言えますが、この様な自身の建築のセンスに応えてくれる日本の職人達に、巨匠は深く敬意の念を抱いたのだそうです。

そう思って見ると、こんな展示物も感慨ひとしおですね。


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さて、こちらは玄関ホール。

皆さん、有名建築物で、メジャーとメモ用紙を持った人、見かけたこと有りませんか?
あれは建築関係者。
もう少し控えめにやりませんとねぇ(笑)。

控え目な性格の私は、メジャーは使いませんが、体でチェック。
白魚の様な手を広げると丁度20cm。
背の低い私が背伸びしないで手が届くのが、2,100ミリ。
このホールの天井高は、ほぼ2,100ミリ。

この天井高は、二枚目の写真の軒から同じ高さで続いています。

で、この低さは…

s-110301 (12).jpg

メインのホールへと続きます。
冒頭にも書きましたが、広角なので余計に低く見えますが、あくまで私は背伸びはせず、普通に立ってレンズを平行に持っています。

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正面の縦長窓など、この様に下の方しか見えません。

ところが…!

s-110301 (14).jpg

その窓の方まで行くと、この様な開放的な勾配天井の空間に。
この低→高の空間の構成こそ、より建物を広く見せる設計なのですね。
もちろん、建物のフォルム自体も、この低さ有ってこその美しさであることは言うまでもありません。
数寄屋建築の軒の低さと共通していると思わずにはいられません。

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いやはや、美しい…。
やっぱり巨匠は偉大だ…。
ついつい長くなりました。最後まで読んでいただいて有り難うございました。


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