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2010.10.28 木曜日: 昨日の続きで、富士市の中古住宅リフォーム現場を例に、中古住宅購入前のチェックポイントです。

チェックポイントその３
【筋交い金物】

これは一番大事ですね。

ちょっと脱線しますが、先月、「“木の家”耐震改修推進会議」の発会式に行ってきた事を書いたのですが、その会議で、中央防災会議専門委員を務める東京大学の目黒公郎教授の講義がありました。

教授のお話をお借りしますと、
東海･東南海・南海の三つの巨大地震が活動期に入り、東海地震は今後30年以内の地震発生可能性が87％と発表されています。
東海地震のマグニチュードは、阪神大震災を上回る8.0が予想され、住宅の全壊は100万戸以上と推計されています。

阪神大震災では、神戸市で亡くなった人の92%が、建物の倒壊による圧死で、地震発生直後の14分間に亡くなっていることが、その後の調査で判明しています。
しかし、震災発生時のあまりにセンセーショナルな映像とマスコミの報道により、
・火災が起きなければ…
・消火栓から水が出てさえいれば…
・自衛隊がもっと早く来て救助活動が行われていれば…
・地域防災の意識が高くて瓦礫の下からの救出が早かったら…
そんなイメージばかりが地震と結びついてしまいました。
ところが、これらは間違った見方で、
上記の亡くなった方の死亡原因とその死亡に至る時間を見れば、地震の被災者を少なくするのは建物の耐震性を確保する以外には道がない事が分かります。

今回のように中古住宅を考えると、その耐震性は建築時の基準・法律がどうだったかを考える必要があります。
木造住宅の建物の耐震性は、
①【1981年の新耐震設計法が導入された建築基準法施工例改正以前の建物】と、
②【1995年に接合金物が「奨励」される建築基準法改正までの、耐震性が曖昧だった建物】
③【それ以降の建物】
があり、
①築29年以上
②築15～28年
③築14年まで
くらいに分かれます。

欠陥住宅でなければ、
③はまずは安全、
②は物件により、かなりバラツキがある
①は耐震補強をしなければそのまますむのは危険

と大雑把に言うことが出来ると思います。

今回ご紹介している中古住宅は、築20年。
上記の②に入ります。

では、ようやく本題に戻り、耐震金物を見てみましょう。
一階の和室の押入の天井を開けて、「ふところ」と呼ばれる一階の天井と二階の床との間をのぞくと、

この様に見えます。
筋交いと呼ばれる斜めの部材が見えますね。

でも、筋交いがあるだけじゃダメ。
金物で留まっていないと、地震で揺すられると簡単に外れてしまいます。

耐震金物が見えました。
分かりづらいのでアップしましょう。

筋交いの向こう側に付いている金物なので､良く分かりませんね。
反対から見ると、こんな金物です。

今ではもうほとんど使われない金物ですが、筋交いプレートという金物で、「1.5倍耐力壁」には現在でも使える金物です。

ちなみに現在では、筋交いも、より太い物が多いので、「2倍耐力壁」用が主流で、取り付ける場所により様々なラインナップがあります。
金物メーカーの「タナカ」ＨＰから見てみると、

Ｌ型、

ボックス型、

プレート型や、

こんなのもあります。

もちろん、きちんと耐震診断をして、弱い部分があれば補強をして、というのが理想ですが、まずはこの金物があるかどうかをチェックすれば、購入の判断材料にはなるのではと思います。

チェックポイントその４
【小屋裏】

最後は、二階の屋根裏・小屋裏をチェックしましょう。

ここも厳密には難しいのでしょうが、単純に、
・断熱材の施工状況
・ボルトなどの金物の付け忘れやいい加減な施工がないか
・雨漏りの跡が無いか

をチェックするだけでも、その家にちゃんと住むことが出来るかどうかの大きな判断材料になると思います。

上の写真では、まぁ、この当時の断熱材の施工レベルから考えると合格点ではないでしょうか。
もちろんもう少しきっちり敷きたいところですけど（中古住宅に完璧を求めすぎても…）。

次はボルト類。

外れそうなくらい緩んでいるとか、素人目に見てもいい加減に付いてるとか、ボルトを入れるための穴は空いてるのに肝心のボルトを入れ忘れているとか。
昨日も書きましたが、いい加減だなぁ､という印象があれば、おそらく一事が万事です。
同じ大工が工事していますし、同じ監督がチェックしてますから（そもそもチェックなんかしてないか…）。

そして雨漏り。

木が塗れると、一般にアクと呼ぶ、木の成分の一つタンニン（お茶の渋み成分）が流れだし、シミになります。

こんな具合。

家を作る際に濡れてシミが出来ただけなら、何ら問題有りません。
これが雨漏りかどうかは、単純にその上を見ればいいわけで、

例えばこの家の場合、屋根のカラーベストを留める釘が合板を突き抜けて、

この様に出ていますが（間違いではありません）、ここから漏っていれば、この廻りにくっきりシミが出来ているのですぐ分かります。

以上、こんな感じのチェックなら、一般の方でも出来るのではと思いますし、これだけでも購入の失敗はかなり防げると思います。
もっとも、信頼の置ける工務店にチェックを頼み、購入後、入居前のリフォームも頼めれば完璧ですね。

というわけで、そんなご相談も、もちろん承ります（長～い営業だなぁ…（笑））。

では、実際にリフォームした様子を次回見てみましょう。

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