- 2012.05.16 水曜日
- 昨日の続きです。
「住宅とエネルギーについて真面目に考えてみよう」シリーズの9回目です。
昨日の続きで、もし私が太陽光発電をお勧めするとしたら、こいつをお薦めしちゃいます。
(写真:春日井市の株式会社参建様モデルハウス工事中に撮影させていただきました)
これは、アモルファスの太陽光発電システムです。
アモルファスというのは、非結晶、つまり結晶じゃないよ、というものです。
通常、太陽光発電のパネルには、レアメタルのシリコンの結晶が使われます。
これに対し、結晶ではない、アモルファスシリコンという物があります。
アモルファスシリコンとは、シリカ(元素記号Si:珪素)を主体とする非結晶半導体(半導体とは条件によって電気を通したり通さなかったりする性質のある物質)で、結晶シリコンよりも光吸収が良く、製膜が容易で、パソコンのTFT液晶等に使われています。
あまり専門的に書き始めると絶対にボロが出るので、『あくまでイメージとして書くと』と前置きした上で、
アルミホイルを光にかざすと何も見えないけど、ポテトチップの袋の内側、同じアルミ色ですけど光にかざすと透けますよね(やってみてもらえれば直ぐ分かります)、あれが蒸着という技術です。
アモルファスも、真空蒸着、と言う方法で作られるそうです(これ以上突っ込まれても分かりません)。
何が言いたいかと申しますと、それだけ少ないシリコンで作れるのが非結晶=アモルファスであるということです。
実際、結晶シリコンの太陽光パネルに比べ、アモルファス太陽光システムは、1/200のシリコンで作られるのだそうです。
シリコンはレアメタルですし、製造過程で有毒物質も出るそうですから、シリコンの使用量を抑えられることは環境にも優しいですね。
さて、最初の説明で、『製膜が容易で…』とすらっとスルーしましたが、この製膜が容易という特徴が、アモルファス太陽光発電システムに最大限に活かされています。
そう、このアモルファスソーラーは、ガラスと一体化した重たいパネルではなく、ペランペランのシート状なんです。
私が曲げて持っているのがそのシートです(背後霊は関係有りません)。
シート状だから、厚さはわずか1ミリ。軽〜い。
当然屋根の上に載せても加重負担はわずかで、従来のパネル型の1/10。
屋根が重くならないので、耐震上不利になることがありません。
またまた技術的な話になりますが、単位あたりの発電効率は結晶方式に劣るものの、アモルファスは利用出来る光の波長域が広いため、朝夕や薄曇りなど、より長く発電が出来、総発電量では結晶方式を上回るとの実験データがあります。
さらに、太陽光発電の弱点である、夏の高温による電圧低下も、結晶方式に比べアモルファスは起こりにくいとのこと。
うーん、ちょっと話が難しい…。
そこで、超シンプルに。
私が一番このアモルファス太陽光発電システムの素晴らしいと思うところは、シート状で板金に接着するだけなので、マクスの定番、次世代パッシブソーラーそよ風システムと合体が出来るのです!
つまり、太陽の熱を受動的に利用するパッシブソーラーと、太陽光のエネルギーと能動的に利用するソーラー発電の夢のコラボ!
空気集熱と太陽光発電のダブルのソーラーなのです。
一つの商品・システムを絶対視して、「これしかないっ」「あとはみんなダメっ」みたいな考え方は嫌いですので、これが全てとは申しません。
でも、今回のエネルギーシリーズのお話しを通して、
「ダブルのソーラー? 面白そうじゃん」
と思っていただいた方、はぃ、是非やってみましょう(笑)。
【建築とエネルギーを考えよう】シリーズはひとまず終了です。
頑張って読んでいただいた方、有り難うございました。
太陽光を売りたいために書いていた訳ではない事は、最初から読んでいただいた方にはお分かりいただけると思います。
太陽光発電は、製造時のエネルギーは、数年で回収出来るようです。
そう考えると、たしかにエネルギーという面から見ると、エコではあるし、素晴らしい技術だと思います。
反面、金額的な損得だけ考えると、なかなか微妙なのも事実です。
メリットとデメリットをよく考えた上で、設置上の検討を十分行って、導入を決めるのが王道です。
「太陽光キャンペーン」とかいうのは、その分どっかに価格転嫁されているだけです。
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Comments
鋭いっ!
ただ、アモルファスフィルム自体も黒いので、それほど効率は落ちないそうです。
本当は効率が落ちる分、再熱板ではなくガラス載せ仕様にしたい所なんですが、納まりが悪く、現在検討中です。
まだまだ産声を上げたばかりのシステムです。
もうちょっと完璧バージョンになる頃、屋根吹き替えてダブルソーラーにしちゃいますか?
そうそう、その前に、薪集めさぼっちゃダメですよ。