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建築とエネルギーを考えよう 7

今週も張り切って参りましょう。
と言うわけで先週の続き、「住宅とエネルギーについて真面目に考えてみよう」シリーズの7回目です。

現在、日本で使われているエネルギーを見てみると、おおよそこんな感じになります。

家庭部門:オフィスなどの業務部門:産業部門=1:1:2

産業部門が一番多いですから、そこにしばりを掛ければ効果大ですが、ここは経済の要、エコエコとエネルギーのことを言ったら景気が悪くなった、では困るので、私たちが建築で出来ること、つまり住宅でもっとエコしよっ、てことになります。


その意味では、廃材や風倒木や植木屋さんが処分した木、それに商品にならない様な間伐材など、こういった本来焼却処分される、もしくはそのまま放置されて腐って行くものを暖房に使うという薪ストーブって、もの凄くエコですよね。

でも、その2でも書きましたが、仮に薪ストーブのみで暖房をしても、その家のエネルギー収支を平均より半減させようとすると、これは非常に難しくなります。


なぜ半減にこだわるのか?
それは、家庭部門を半減する、つまり四半世紀前のエネルギー量にまで戻せば、業務部門・産業部門は現状のままでも原発に頼らないでエネルギーが足りるという試算があるからです。
それが、Forward to 1985 運動です。

1985年、私は高校生。
すでにドラクエとかテレビゲームもあったし、ビデオもエアコンも冷蔵庫も乾燥機付き洗濯機もありました。
マックやウインドウズこそ無かったけどパソコンもありましたし、そーんなに不自由な暮らしをしていた訳じゃない。
日本人みんなで頑張れば、あの頃のエネルギー使用量に戻すのは、そんなに難しくないはずなんだけど…。


なぜそれがこんなに難しいのかは、やっぱり贅沢病なんでしょうね。
そこで、エネルギーをもっと減らすには何か無いか?
と考えると、やっぱりこれに行き着いちゃうわけです。

そう、太陽光発電。

以前にも書いていますが、どーもこいつだけは胸を張ってお勧め出来なかったんですね。
良いことだけを伝えてお勧めするのは、私としては反則なのです。

だから本日は悪いことから書いちゃいましょう。
まずは、以前書いた記事。
「太陽光発電に関する私見 その1 その2

う〜ん、悪口かなこれ…
でも、事実は事実。

それから、
「太陽光 のっけるだけで エコハウス」
というような、家電メーカーとそれに安易に乗っかったハウスメーカーのイメージ戦略。

ネットでは情報が大洪水状態ですが、ざっくり見て導入に200万かかるとしましょう。
最近では性能も良くなってきたので、買電で元を取るのに15年とか、かかっていたものが、12,3年で元が取れる様になりました。

でも、これあくまでも、「初期費用の元が取れるのに」です。
家を建てる時に、
「東電が値上げするみたいだし、電気代がタダになるみたいだから太陽光載せちゃう?」
的に安易に決める前に、ちょっと考えてみると、
住宅費用が200万アップするって事は、住宅ローンも200万アップしますよね?
その200万円、35年ローンで返す場合、総返済額は幾らでしょうか?
フラット35の安いところで2.5%で計算してみても、総返済額は300.3万円になります。
つまり1.5倍です。

かりに、10年で元が取れるとしましょう。
先日ようやく本年度の売電価格が42円と発表になりました。
ただし、この価格は設置後10年間の値段です。
10年後は分からないと言えばそれまでですが、現状で行けば24円になると考えるのが妥当だと思います。

つまり約半分。
総返済額の300万で見ると、あと100万分売電しないといけない。
10年で200万売電出来ても、次の10年では売電価格が半分なので100万しか売電出来ない。

つまり、10年で元が取れるのだとしても、キャッシュで太陽光発電載せない限り、本当は元を取るのに20年かかるわけです。

しかも、10年で元取るには、かなり安く設置しないと不可能。
本体価格の差は安い中国産でカバー出来ても(品質は置いといて)、施工費を安くするには・・・です。

さらに、その間、発電効率の低下や部品の有償交換が有れば、元を取るのにもっと時間がかかる。
住宅の平均寿命に達しちゃいます。
それなら、住宅の耐久性を上げる方が先では…?

実際に起きている色々な問題は、私が勝手に言ってるだけではありません。

s-120514.jpg
 NHKニュースWEBより「太陽光発電に思わぬ落とし穴」


でも!

…続きます。


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自然室温で暮らせる家 びおハウス | comments (2) | trackbacks (0)

Comments

鈴木 | 2012/05/15 05:46 AM
差し鴨居様
こちらこそ、いつも嬉しいコメントありがとうございます。
例えが悪いですが、
『色の白いのは七難隠す』
と言います。
『美人は三日で飽きる』
とも。
良く考えないと見た目で飛び付いちゃうけど、大事なのは中身、これは何事にも言える事なのだと思います(笑)。
どんなに高級な最新システムキッチンでも、三十年したらボロボロで更新が必要です。
でも、構造は更新出来ないから、三十年でボロボロになる様ではいけないのですよね。
差し鴨居 | 2012/05/14 09:12 PM
相変わらず鈴木さんの話は面白いですね♪

自分は家の構造・断熱にこそ力を入れるべきだと思います。

今の家の良しあしは、外観がきれいで、家の中の設備は最新のシステムキッチンとかが受けるじゃないですか。

人それぞれの考え方なので、なんともいい答えではありませんけど・・・。

今の顧客層にも問題があると思いますが・・・。

中長期でのスパンの家造り・・・目指したいものです。

理想は板倉の家です・・・私個人としては(笑)。

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