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2011.12.06 火曜日: ただいまマクスでは、事務所二階をリフォーム中です。
自然素材リフォームを行い、ここで勉強会やワークショップが出来る空間にしようと思っております。

さて、突然ですが、私はエアコンが苦手です。
夏、さすがに車では冷房をかけますが、会社でも家でも、冷房はかけません。
扇風機のみです。

家では扇風機のみで普通に過ごせますが、事務所の二階は、断熱性が悪い上に折半屋根と呼ばれる、金属の波板なので、太陽の熱がもろに伝わってきて、かなり過酷な状況になります。
それでも、エアコンに当たると直ぐ体調を崩すため、苦行のようにエアコン無しで耐えています。

そこで、今回のリフォームに合わせ、断熱リフォームを行うことにしました。
今回使っているのは、「木質繊維断熱材」。

この木質繊維断熱材は、マクスが加盟する「町の工務店ネット」で、来年の大きな目標となる「びおハウス」の鍵を握る、重要なアイテムです。

時節柄、こんな写真をアップすると怒られそうですが、ふざけているわけではなく、この断熱材の工事をするための装備です。
作業風景をご紹介する前に、少々この木質繊維断熱材をご紹介させていただきます。

まず、断熱材とは何か？
字では、熱を伝えない材料、と読めますが、物理的に熱を伝えないのは「真空」だけです。
断熱材は、「熱を伝えない」のではなく、「熱の伝わりを遅くする」材料です。

少々難しくなりますが、断熱材の性能を見るためには、性能を示す様々な数値の意味を知らなければなりません。

断熱材の熱の伝わり方は、遅ければ遅いほど優秀な断熱材と言うことになりますが、その熱の伝わりにくさ（つまり、断熱材の性能）を表す指標に、【熱伝導率】というものがあります。

熱の伝わりにくさ（伝わりやすさ）を示したものです。
熱伝導率が高ければ高いほど熱を伝えますし、低ければ伝えにくい、優秀な断熱材、となります。

熱伝導率は材料そのものの特性で、使用する厚みによって【熱抵抗値】が計算できます。

この熱抵抗値の逆数（１÷熱抵抗値）が、【熱貫流率】です。

部位ごとの熱貫流率に面積をかけて、換気によって逃げる熱を加えて計算したものが、【熱損失係数(Ｑ値)】です。
次世代省エネルギー基準にも、地域ごとにＱ値の基準値が定められています。

静岡はⅣ地域という分類で、このＱ地が2.7以下だと次世代基準、ということになります。
もう少し寒いⅢ地区では2.4以下、北海道などの一番寒いⅠ地域では1.6以下にしなければいけません。
これは、その分断熱材を厚くすればいいわけで、コストと費用対効果のにらめっこになります。

ちなみに、月曜にご紹介したお宅のＱ値は2.29でした。
昨今では、Ｑ値が１を切るような住宅も研究されており、こうなると家電や人間の体温だけで暖房をまかなえる、無暖房住宅が実現するそうですが、そのための断熱工事（イニシャルコスト）と、断熱性が悪い家にかかる暖房費（ランニングコスト）とを比較して考えないといけませんね。
数字が全てじゃありません。

さてこの様に、建物の断熱性は、熱伝導率やＱ値で説明されてきたわけですが、断熱材が違っても、同じ厚さ、同じ熱伝導率の場合、熱貫流率は同じになるのに対し、その断熱性能は必ずしも同じになりません。
今までの指標・数字から、もう一歩進む必要があるぞ…

町の工務店ネットではこの点に注目し、新たな断熱材の開発に取り組みました。

注目したのは、比熱と熱容量。

・【比熱】とは、その物体の温度を変えるのに必要なエネルギー

・【熱容量】とは、【比熱】×【密度】

です。

ここで、厚さ（10cm）と熱伝導率（λ=0.038）が同じ二つの断熱材を比べてみます。
　　　　　　　　　　　　　　　【比熱】　　　　　【密度】　　　　【熱容量】
高性能グラスウール　1,000J/kg･K　　16kg/m3　　16kJ/m3･K
木質繊維断熱材　　　2,100J/kg･K　　40kg/m3　　84kJ/m3･K

カタログからのグラフですので見にくくて申し訳ございませんが、熱伝導率で見ると、性能が同じはずの二つなのに、温度変化に顕著な違いがあるのが分かります。
熱容量が高いほど、断熱材そのものに熱を蓄える力が大きくなるので、温度変化しにくい、つまり、熱を伝えにくくなるためです。

例えばコンクリート。
上記の例で見れば、グラスウールの40倍近く熱伝導率が高い、つまり、熱を伝え易いはずなのに、密度が100倍以上有り、熱容量が桁違いに大きい。
そのため、熱が伝わりにくいのですが、ひとたび熱が伝わると、これはいわゆる蓄熱で、なかなか冷めません。
熱くて寝れないとか、逆に全然暖房が効かない…なんて事になりかねないわけですね。

話が長くなりましたが、町の工務店ネットでは、上記の熱容量に着目し、さらに高密度（60kg･m3）で熱容量の高い木質繊維断熱材をメーカーに依頼して開発。
これを“ぶ厚く”施工することで、まさに茅葺き屋根のような、夏涼しく冬暖かい家を実現させようとしています。

で、冒頭の写真、何であんな格好をしていたのか？
長くなったので明日に続きます。

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