柿田川の外来植物除去ボランティア
本日より七十二候は、霜降の次候「霎時施(こさめときどきふる)」です。
通り雨がパラパラと降る頃、とのことですが、うーん、この秋は時々じゃないですね。
雨多すぎ…。
そんな雨の本日、静岡県清水町の柿田川公園に行ってまいりました。
目的は、「柿田川の外来植物除去」。
※最後に珍しい動画があります!
公益財団法人柿田川みどりのトラストのボランティアとして参加しました。
柿田川は、静岡県東部を流れる狩野川水系の一級河川で、全長はたったの約1.2km。
湧き出て川になり、1.2kmで狩野川に合流、という、日本一短い一級河川としても知られます。
大量の湧水を水源とする珍しい川で、長良川・四万十川とともに日本三大清流に数えられています。
名水百選や、国の天然記念物にも指定されています。
上の写真は、公園内にある湧水井戸を上部より観察できる展望台より。
柿田川は、ほぼその全量が富士山の雨や雪の伏流水で、約十年かけてこの地に湧き出るといいます。
水量は1日約100万トンで、「東洋一の湧水量」と書いてあります(ホントかな…笑)。
そんな柿田川ですが、かつては豊富な湧水目当てに紡績工場などが進出、工場排水に加え、生活排水のたれ流しにより水質が悪化し、魚も住めない状態になり、私が生まれた頃の70年代は護岸のため、部分的にコンクリートに覆われるなどし、今では想像できない姿だったそう。
80年代に入り、地元有志によるナショナルトラスト運動(自然環境を無理な開発による環境破壊から守るために市民活動等によって買い上げる、又は自治体に買取り・保全を求める活動)が始まり、現在では、カワセミ等も生息する環境が守られています。
国道一号線のすぐ脇に、これほどの自然があるのは、他県の方は驚くに違いありません。
現在でもトラスト地の買い上げが続けられており、今回参加した柿田川緑のトラストは、長くその運動の中心をになってきました。
そんな柿田川の自然を守ろう!
と、小雨降る中のボランティア参加です。
柿田川は、貴重な動植物の宝庫となっており、トンボが孵りやすいように、まずは茂りすぎた「カサスゲ」の撤去。
カサスゲは外来種ではありません。
いわゆる「スゲの傘」が作られる植物で、高さ1mにもなります(写真は後ほど)。
こちらの日本のツユクサに似たのは、外来種の「ノハカタカラグサ」。
南アメリカ原産です。
おなじツユクサ科ですが、日本のツユクサが青い花なのに対して、このノハカタカラグサは白い花が咲きます。
一緒に参加した沢本と、せっせと抜いて集めます。
すぐに袋いっぱいになります。
ちなみに、上の二枚に少しだけ写っている紫の花は、葉っぱがシソのような(シソとは無関係)「ツリフネソウ(釣船草)」です。
こちらは、中央が「オオカワヂシャ」という外来種。
周りは在来種の「セリ」です。食べるやつ。
ヨーロッパ原産で、日本の在来種のカワヂシャとの自然交配で遺伝的錯乱が生じ、在来種の方は絶滅危惧種なのだとか。
こちらの中央は、有名な「ミシマバイカモ」。
まわりがオオカワヂシャを抜いてさっぱりしたセリ、そして外側の背の高いのが、最初にトンボのために間引いたカサスゲです。
ミシマバイカモは、三島梅花藻と書きますが、藻ではありません。
根があり、葉で光合成をして、花が咲くので陸上の植物と同じ。
藻にはこれらがありません。
ミシマバイカモは、前述の水質汚染で一時は絶滅した、と言われたそうですが、今は見事に復活したイチョウバイカモの変種で、自然環境で現存するのは、ここ柿田川だけです。
こちらは水辺の大木ハンノキの果実。
ハンノキは、雌雄同株・雌雄異花の木で、上の写真は雄花序。
ハンノキは、水辺に森林を形成する数少ない樹木で、良質な薪になるために、以前は盛んに伐採されたそうです。
この「びお静岡東部版」の第一回にワサビ田をご紹介しましたが、直射日光に弱いワサビを守るために、ワサビ田によく植えられるのも、このハンノキです。
柿田川は、かつて、武田軍に備えるために北条が築いた「泉頭城(いずみかしらじょう)」という平城がありました。
武田氏滅亡の後は、駿河国主となった徳川に対する最前線の城となり、北条が滅びた後廃城となったとされます。
大阪城を攻め落とし江戸政権を磐石にした家康は、この地を隠居場所と決定し、縄張りのためにこの地を訪問する予定まで決まっていましたが、結局は隠居場所は駿府となりましたが、ここに城を作るとしたら、この柿田川をどのように設計に採り入れたか、実に面白く思います。
柿田川は、上記の北条のころから、水辺の植物を採取し、肥料として畑に使うために、細かく地権者が決められて、それが現在に至るのだそうです。
なので、川=公共のもの、というイメージがありますが、実はこの柿田川は、中心部のごく細い部分を除き、殆どが私有地という珍しい川。
トラスト運動で柿田川緑のトラストの所有となった部分に、生態系を作るために、上記のハンノキを植えたのだそうです。
すごい長い苦労と努力の積み重ねがあったんですね。
こちらは、かつての紡績工場の井戸の跡(危険なので石で埋められています)ですが、北条の城の頃は、ここは船着き場だったとか。
ロマンですねぇ…。
さて、長々と書いてまいりましたが、この豊富な湧き水の柿田川。
コンコンと湧き出る一番の湧水ポイントに、ボランティアのご褒美に連れて行っていただきました。
一般の方は、遠くの展望台からしか見ることが出来ないポイントで、水中カメラ撮影してみました!
美しい柿田川の、川底の映像をご覧ください!
(けっこう水量があり、カメラを真っ直ぐ保持できずにすみません)
晴れていたらもっとキレイだったろうに…とちょっと残念でした。
文:鈴木
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住まいマガジン「びお」の、静岡地方版ざます。
工務店のマクスから、家づくりの情報とは違った切り口で、「住まいと暮らしの視点」からローカルで旬な話題を発信してゆこうと思っておりますワン。
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